セラミック治療とは?種類と特徴を理解しよう
セラミック治療は、天然歯に近い美しさと機能性を兼ね備えた歯科治療です。
むし歯や欠けた歯を修復する際に、詰め物や被せ物として使用されることが多く、金属アレルギーのリスクが少ないのも大きな特徴です。
歯科医院で「セラミック」と言われても、実はいくつかの種類があることをご存知でしょうか。それぞれに特徴があり、患者さんのお口の状態や希望に合わせて選択することが大切です。
セラミックは主に以下の種類に分けられます。e.max(イーマックス)、ジルコニア、メタルボンドセラミック(PFM)などがあり、それぞれ特長が異なります。
いずれも保険の材料と比較して、審美性の面で圧倒的に優れているのが特徴です。
セラミックの寿命はどのくらい?科学的データから解説
「セラミックはどれくらい持つの?」この質問は、患者さんからよく受ける質問の一つです。結論から言うと、セラミックの平均寿命は10〜20年程度と言われています。
しかし、これは素材や使用環境によって大きく異なることが研究により明らかになっています。科学的なデータを見てみましょう。
補綴歯科学の研究によると、各セラミックの耐用年数と臨床成功率は以下のようになっています。
- メタルセラミッククラウン(PFM):平均10〜15年、10年後の臨床成功率は約90%
- ジルコニアクラウン:平均15〜20年、10年後の臨床成功率は約95%
- CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン):約5〜10年
特にジルコニアクラウンは、近年の技術進歩により、20年以上の長期間持つ可能性もあることが報告されています。これは非常に心強いデータですね。
ただし、これらの数字はあくまで平均値です。実際には、患者さん一人ひとりの口腔内環境や生活習慣によって大きく変わってきます。
セラミックの寿命を縮める主な原因とは?
せっかく美しいセラミックを入れたのに、早期に問題が生じてしまうケースがあります。その主な原因を理解しておくことで、長く美しい状態を保つことができるでしょう。
セラミックの寿命を縮める主な原因は以下の通りです。
メンテナンス不足による二次むし歯
セラミック自体はむし歯になりませんが、セラミックの被せ物や詰め物の土台になっている天然歯は、むし歯になるリスクを抱えています。
詰め物と歯の間にはわずかな隙間があり、そこにプラーク(歯垢)や食べカスが溜まると、細菌が繁殖して二次むし歯を引き起こします。
二次むし歯が進行すると、セラミックの下の歯がもろくなり、最悪の場合、土台の歯が保存できなくなることもあります。
歯ぎしり・食いしばり
無意識のうちに行っている歯ぎしりや食いしばりは、セラミックに過剰な力をかけ、欠けや割れの原因になります。特に就寝中の歯ぎしりは自分では気づきにくいものです。
歯ぎしりが激しい場合は、ナイトガードの使用を検討することをお勧めします。これにより、セラミックにかかる負担を軽減できます。
硬いものを噛む習慣
セラミックは強度が高いものの、氷や固いナッツ類、貝殻などの非常に硬いものを噛むと、欠けたり割れたりするリスクが高まります。
また、爪を噛む、ペンのキャップを噛むといった癖も、セラミックに負担をかける原因になります。これらの習慣は意識して避けるようにしましょう。
セラミックを長持ちさせるための日常ケア
セラミックを長く美しく保つためには、日常のケアが非常に重要です。適切なケアを続けることで、セラミックの寿命を最大限に延ばすことができます。
私が患者さんにお伝えしている、セラミックを長持ちさせるための日常ケアのポイントをご紹介します。
正しいブラッシング方法
セラミックを長持ちさせるためには、正しいブラッシング方法が欠かせません。柔らかめの歯ブラシを使用し、優しく丁寧に磨くことが重要です。
特に、セラミックと歯の境目は丁寧に磨きましょう。この部分に汚れが溜まると、二次むし歯や歯周病の原因になります。
また、研磨剤の強い歯磨き粉はセラミックの表面を傷つける可能性があるため、低研磨性の歯磨き粉を選ぶことをお勧めします。
デンタルフロスと歯間ブラシの活用
歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間の汚れを除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシの使用が効果的です。
特にセラミックの周囲は、フロスを使って丁寧に清掃することが大切です。
フロスを使う際は、歯ぐきを傷つけないよう、優しく滑らせるように使用しましょう。また、歯間ブラシは自分の歯の隙間に合ったサイズを選ぶことが重要です。
食生活の見直し
セラミックの寿命を延ばすためには、食生活の見直しも効果的です。特に、以下の点に注意しましょう。
- 硬いものを避ける(氷、固いナッツ類、貝殻など)
- 酸性の強い飲食物を控える(炭酸飲料、柑橘系ジュースなど)
- 着色の強い食べ物・飲み物を摂取した後は、すぐにうがいをする
これらの習慣を身につけることで、セラミックの美しさと機能を長く保つことができます。
プロフェッショナルケアの重要性
日常のセルフケアに加えて、定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアもセラミックを長持ちさせるために欠かせません。
歯科医院では、自分では落としきれない汚れを専門的に除去し、セラミックの状態を詳しくチェックすることができます。
定期検診の頻度
セラミック治療後の定期検診は、一般的に3〜6ヶ月に1回程度が推奨されています。しかし、口腔内の状態や生活習慣によって、適切な頻度は異なります。
歯ぎしりがある方や、口腔内の環境が変化しやすい方は、より頻繁に検診を受けることをお勧めします。担当の歯科医師と相談して、自分に合った検診スケジュールを決めましょう。
定期検診では、セラミックの状態だけでなく、周囲の歯ぐきの健康状態や噛み合わせのチェックも行います。
プロフェッショナルクリーニング(PMTC)

プロフェッショナルクリーニング(PMTC)は、歯科衛生士が専用の機器と薬剤を使って行う専門的なクリーニングです。
自分では落としきれない歯垢や歯石を除去し、セラミックの美しさを保ちます。
PMTCでは、セラミックに傷をつけないよう、専用のペーストや器具を使用します。これにより、セラミックの表面の光沢を保ちながら、汚れを効果的に除去することができます。
噛み合わせのチェックと調整
セラミックの寿命に大きく影響するのが噛み合わせです。噛み合わせが悪いと、セラミックに過度な力がかかり、欠けや割れの原因になります。
定期検診では、噛み合わせのチェックと必要に応じた調整を行います。特に、セラミック装着直後は噛み合わせが変化することがあるため、早めに調整することが重要です。
セラミックのトラブルと対処法
どんなに注意していても、セラミックにトラブルが生じることがあります。早期発見・早期対応が重要ですので、以下のような症状があれば、すぐに歯科医院を受診しましょう。
セラミックが欠けた・割れた場合
セラミックが欠けたり割れたりした場合は、すぐに歯科医院を受診してください。欠けた破片が口の中に残っている場合は、誤って飲み込まないよう注意しましょう。
欠けや割れの程度によって、修復方法が異なります。軽度の場合は研磨や補修で対応できることもありますが、大きく破損している場合は作り直しが必要になることもあります。
セラミックの下が痛む場合
セラミックの下の歯が痛む場合は、二次むし歯や歯髄炎(神経の炎症)の可能性があります。放置すると症状が悪化する恐れがあるため、早めに歯科医院を受診しましょう。
特に、冷たいものがしみる、噛むと痛いといった症状がある場合は、何らかのトラブルが生じている可能性が高いです。
セラミックが外れた場合
セラミックが外れた場合も、すぐに歯科医院を受診してください。外れたセラミックは、できれば紛失しないよう保管しておきましょう。
状態が良ければ、再装着できる可能性があります。
自己判断で接着剤などを使って付け直そうとするのは避けてください。不適切な方法で付け直すと、さらなるトラブルの原因になることがあります。
まとめ:セラミックを長く美しく保つために
セラミック治療は、美しさと機能性を兼ね備えた素晴らしい治療法です。適切なケアと定期的なメンテナンスを行うことで、その美しさと機能を長く保つことができます。
セラミックの寿命は平均10〜20年ですが、中でもジルコニアは15〜20年と長寿命です。しかし、これはあくまで平均値であり、日常のケアや生活習慣によって大きく変わります。
セラミックを長持ちさせるためのポイントをまとめると:
- 正しいブラッシング方法で丁寧に歯を磨く
- デンタルフロスや歯間ブラシを活用する
- 硬いものを噛む習慣を避ける
- 歯ぎしり・食いしばりがある場合はナイトガードを使用する
- 3〜6ヶ月に1回の定期検診を受ける
- 異常を感じたらすぐに歯科医院を受診する
セラミック治療後のケアについてご不明な点があれば、ぜひ当院にご相談ください。患者さん一人ひとりに合ったケア方法をご提案し、長く美しい口元を保つためのサポートをいたします。
美しい歯は、自信にあふれた笑顔をもたらします。セラミックの美しさを長く保ち、いつまでも健康的な笑顔でいられるよう、日々のケアを大切にしていきましょう。
詳しい情報や治療についてのご相談は、江田あおば歯科・矯正歯科までお気軽にお問い合わせください。経験豊富な専門医が、あなたに最適な治療法をご提案いたします。
監修医師
江田あおば歯科・矯正歯科 院長:上田 聡太

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経歴
サレジオ学院中学校・高等学校 卒業
東京医科歯科大学 歯学部 歯学科 卒業
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院に勤務
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院にて院長として勤務
江田あおば歯科・矯正歯科 開院
所属団体
日本歯周病学会 認定医
日本口腔インプラント学会
DFC(Dental Future Conference)
日本インプラント臨床研究会
中野予防歯科研修会
日本歯科医師会
神奈川県歯科医師会
横浜市歯科医師会
青葉区歯科医師会
