乳歯と永久歯の違い・・・
なぜ乳歯は虫歯になりやすいのか

乳歯と永久歯には、見た目だけでなく構造にも大きな違いがあります。
まず、大きさです。
乳歯は永久歯に比べて一回り小さく、全体的にコンパクトな形をしています。
また、色にも違いがあり、乳歯は白に近い色をしていますが、永久歯は黄みがかった色をしています。
最も重要な違いは歯質です。
乳歯のエナメル質や象牙質の厚みは、永久歯の約半分しかありません。
エナメル質は歯の表面を覆う硬い組織で、虫歯菌から歯を守る役割を担っています。
しかし、乳歯はこの「鎧」が薄いため、虫歯菌の侵食を受けやすいのです。
さらに、乳歯はかみ合わせの溝が深く、歯ブラシの毛先が届きにくい構造をしています。
この形態的な特徴により、食べかすや歯垢がたまりやすく、虫歯菌が繁殖しやすい環境となっています。
加えて、乳歯は永久歯に比べてやわらかく酸に弱いため、虫歯になると一気に進行してしまいます。
小さなお子様は痛みを上手に伝えることが難しいこともあり、
大人が気づいたときには重症化しているケースも少なくありません。
このように、乳歯は永久歯に比べて虫歯になりやすく、進行も早いという特徴があるため、
日々のケアと定期的な検診が非常に重要になります。
乳歯の虫歯が永久歯に及ぼす5つの深刻な影響
乳歯の虫歯を放置すると、成長途中のお子様の身体にさまざまな悪影響を及ぼします。
「いずれ乳歯は永久歯に生え変わるから」といって、決して虫歯を放置してはいけません。
ここでは、乳歯の虫歯が永久歯に及ぼす5つの主な影響について詳しく解説します。
1. 永久歯の発育不全や変色を引き起こす
乳歯の虫歯が進行して神経にまで達すると、歯根の周囲に膿がたまることがあります。
この膿が、乳歯の下で育っている永久歯の発育に悪影響を及ぼすのです。
その結果、白い斑点模様ができたり、茶色く着色した永久歯が生えてくることがあります。
これを「ターナー歯(エナメル質形成不全)」といい、虫歯菌の影響を受けやすい歯になってしまいます。
永久歯の色や質が悪くなると、見た目の問題だけでなく、
虫歯になりやすい歯として一生付き合っていかなければなりません。
2. 永久歯の歯並び・噛み合わせが悪くなる
乳歯には、永久歯が正しい位置に生えてくるように誘導する重要な役割があります。
しかし、虫歯が重症化して自然に抜けてしまったり、治療により早期に乳歯を抜いたりした場合、
抜けた隙間を埋めるように周囲の歯が傾いてしまいます。
その結果、永久歯の生えてくるスペースが狭くなり、歯並び・噛み合わせが悪くなる原因となります。
歯並びが悪くなると、見た目の問題だけでなく、食べ物をうまく噛み砕くことができず、
消化不良を起こしたり、顎関節症を引き起こしたりする可能性もあります。
3. 永久歯の虫歯リスクが高まる
虫歯を放置すればするほど、お口の中の虫歯菌も増えていきます。
乳歯が虫歯になっているということは、お口の中に虫歯菌が多く存在することを意味します。
このような環境に生えてきた健康な永久歯は、虫歯になるリスクが非常に高くなります。
虫歯菌が多い口内環境では、せっかく生えてきた永久歯もすぐに虫歯になってしまう可能性があるのです。
4. 顎の発達を妨げる
虫歯ができると、噛む時に痛みを生じたり、噛みにくくなったりします。
そのため、固い食べ物を避けるようになるなど偏食になりやすくなります。
また、痛みを避けるために片方の歯で噛む癖がついてしまうと、顎が十分に発達せず、
顎のバランスが悪くなり、噛む力が弱くなってしまいます。
咀嚼回数の減少により、顎の発達を妨げ、顔の形が歪んでしまうこともあります。
5. 口腔習癖を引き起こす
虫歯により歯がむずがゆいため、指しゃぶりをしたり、
噛んだりといった癖がついてしまうことがあります。
また、虫歯によって前歯が欠如していると、舌癖などを引き起こしてしまいます。
これらの口腔習癖は、さらなる歯並びの悪化や噛み合わせの問題につながる可能性があります。
このように、乳歯の虫歯には永久歯に悪影響を及ぼしてしまう危険が潜んでいます。
生え変わるからといって放置せず、早めに歯科医院を受診することが大切です。
乳歯の虫歯が進行しやすい理由と危険因子
乳歯の虫歯には、進行しやすい理由と虫歯になりやすい危険因子があります。
これらを理解することで、効果的な予防策を講じることができます。
虫歯の進行が非常に早い
前述の通り、乳歯はエナメル質や象牙質が薄いため、虫歯の進行が非常に早いです。
気づかないうちに神経まで虫歯菌が及んでしまうこともあります。
また、子どもは大人に比べて痛覚が発達していないため、
虫歯が象牙質に到達しても、大人ほど強い痛みを感じることがありません。
痛みによる訴えが遅れるぶん、虫歯の早期発見が難しく、
気付いたときにはかなり悪化していたというパターンもあります。
乳歯の虫歯は白いまま進行する
虫歯というと歯が黒くなるというイメージがありますが、
乳歯の虫歯は黒くならず、ほとんどが白いまま進行します。
これは、乳歯の虫歯は永久歯よりも進行のスピードが速く、色素沈着を起こす前に悪化するためです。
虫歯=黒いという固定観念を持っていると、知らない間にお子様の虫歯が進行している可能性があるので要注意です。
間食が多い・だらだら食べ

歯磨きはいつもしているけれどもなぜか虫歯になってしまう、というお子様も多いのではないでしょうか。
だらだらおやつを食べていると、お口の中に糖分が停滞するため、
常にお口が酸性の状態になってしまい、虫歯ができやすい環境になってしまいます。
おやつを食べる際は時間を決めて、ダラダラ食べをしないように注意しましょう。
乳歯の虫歯ができやすい3つの場所
虫歯はどの歯にもできるリスクがありますが、乳歯の虫歯は特に以下の3つの場所に発生しやすい傾向にあります。
前歯
乳歯が生えてくるのは一般的に下の前歯、上の前歯の順です。
特に乳歯の前歯のみが生えている状態では、前歯に食べかすが集中するため、
前歯の表面を中心に虫歯菌が発生しやすい傾向にあります。
前歯の裏側も、甘い飲み物を飲むときなどに触れやすい部分なので、
表だけでなく裏側もよくケアしないと、虫歯の原因となります。
奥歯
奥歯は元々歯ブラシが届きにくい場所ですが、
乳歯の場合はさらに、かみ合わせ部分の溝が深くて毛先が入りにくいという悪条件が重なるため、
他の部分より虫歯のリスクが高くなります。
また奥歯は鏡を使っても死角が発生しやすく、大人が仕上げ磨きをしても、
磨き残しが出るケースが少なくありません。
特に奥歯と奥歯の間や、溝の奥などは磨き残しが発生しやすく、虫歯のリスクも高いといわれています。
歯と歯茎の境目
歯と歯茎の境目には歯周ポケットと呼ばれる溝があり、
食べかすが詰まりやすくなっています。
溝に詰まった食べかすや歯垢を取り除くには、歯ブラシに角度を付けて磨かなければなりませんが、
小さなお子様が自分で行うのは難しいため、保護者の方の仕上げ磨きが重要になります。
乳歯の虫歯を予防するために家庭でできること
乳歯の虫歯を予防するには、日々のケアが非常に重要です。
ここでは、ご家庭でできる予防法について詳しくご紹介します。
正しい歯磨きと仕上げ磨き
まずはしっかりと基本の「歯磨き」をしましょう。
最低でも1日2回は磨くようにしてください。
特に、小学校低学年のお子様は、まだまだ歯磨きが安定していない場合が多いので、
保護者の方の仕上げ磨きも重要です。
奥歯の溝や前歯の磨き残しなどに注意しながら、虫歯の原因となる歯垢をしっかり除去することが大切です。
乳歯から永久歯へと生え変わる時期は、歯並びが悪くブラッシングがしにくい時期です。
丁寧に磨いてあげましょう。
家族全員の口腔ケア
赤ちゃんは無菌状態で産まれてきます。
つまり、虫歯菌は生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には存在しません。
赤ちゃんの虫歯を防ぐには、赤ちゃんに虫歯菌をうつさないように、
妊娠中から家族全員がセルフケアや定期的な歯科検診を徹底し、口腔内を清潔に保つことが大切です。
未治療の虫歯がある場合には、早めに歯科医院で治療を受けましょう。
食生活の改善
おやつを食べる際は時間を決めて、ダラダラ食べをしないように注意しましょう。
また、糖分の多い飲み物や食べ物を控えることも効果的です。
食事の後は、できるだけ早く歯磨きをする習慣をつけることが大切です。
歯科医院でできる乳歯の虫歯予防

ご家庭でのケアに加えて、歯科医院での専門的な予防処置も非常に効果的です。
フッ素塗布
フッ素は歯の表面を強化し、虫歯菌の活動を抑制する効果があります。
定期的にフッ素を塗布することで、乳歯の虫歯予防に大きな効果が期待できます。
フッ素塗布は痛みもなく、短時間で終わる処置なので、お子様にも安心です。
シーラント
シーラントは、奥歯の溝を樹脂で埋める予防処置です。
乳歯の奥歯は溝が深く、食べかすや歯垢がたまりやすいため、
シーラントで溝を埋めることで虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。
定期検診とクリーニング
定期的に歯科医院を受診することで、虫歯の早期発見・早期治療が可能になります。
また、専門的なクリーニングにより、ご家庭では取り除けない歯垢や歯石を除去することができます。
当院では、虫歯のチェックや普段の歯磨きの状態のチェックだけでなく、
一人ひとりの生活習慣・お悩みに合わせ、歯磨き指導やセルフケアグッズなどのご紹介をしております。
まとめ・・・
乳歯のケアで、お子様の将来の健康な歯を守りましょう
乳歯の虫歯は、「どうせ生え変わるから」と軽視できるものではありません。
永久歯の発育不全や変色、歯並びの悪化、虫歯リスクの増加、顎の発達の阻害など、
お子様の将来の歯や顎の成長、そして全身の健康にまで深刻な影響を及ぼす可能性があります。
乳歯の虫歯を予防するためには、ご家庭での正しい歯磨きと仕上げ磨き、食生活の改善、
そして歯科医院での定期検診やフッ素塗布、シーラントなどの専門的な予防処置が重要です。
お子様の健康な歯を守るために、乳歯の段階から虫歯予防に取り組みましょう。
江田あおば歯科・矯正歯科では、「泣かない・こわくない・楽しく通える歯医者さん」をコンセプトに、
お子様のペースに合わせたやさしい診療を提供しています。
歯磨き指導や予防指導、食生活のアドバイス等を通じて、お子様のお口の健康を専門的にサポートいたします。
お子様の歯のことで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
詳しくは江田あおば歯科・矯正歯科の公式サイトをご覧ください。
監修医師
江田あおば歯科・矯正歯科 院長:上田 聡太

https://aoba-ku.jp/medical_list/facilities/6474/interview
経歴
サレジオ学院中学校・高等学校 卒業
東京医科歯科大学 歯学部 歯学科 卒業
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院に勤務
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院にて院長として勤務
江田あおば歯科・矯正歯科 開院
所属団体
日本歯周病学会 認定医
日本口腔インプラント学会
DFC(Dental Future Conference)
日本インプラント臨床研究会
中野予防歯科研修会
日本歯科医師会
神奈川県歯科医師会
横浜市歯科医師会
青葉区歯科医師会