はじめに〜子供のおやつと虫歯の深い関係

「おやつの時間」は、お子さんにとって一日の中でも特別な楽しみですよね。
しかし、親御さんとしては「虫歯にならないか」という心配がつきものです。
実際、小学生の疾患の中で虫歯は視力低下と並んで最も多い健康問題となっており、
他の疾患と比較しても圧倒的に罹患率が高いことがわかっています。
私は江田あおば歯科・矯正歯科で日々、多くのお子さんの歯の健康を守るお手伝いをしていますが、
虫歯予防において「おやつ選び」と「与え方」が非常に重要な役割を果たすことを実感しています。
適切な知識があれば、お子さんに楽しいおやつタイムを提供しながら、同時に虫歯から歯を守ることができるのです。
この記事では、小児歯科の専門的な視点から、虫歯になりやすいおやつの特徴、
虫歯になりにくいおやつの選び方、そして食べるタイミングや食後のケア方法まで、
ご家庭ですぐに実践できる具体的な方法を詳しく解説します。
虫歯のメカニズム〜なぜおやつが虫歯の原因になるのか
虫歯ができる仕組みを理解しましょう
虫歯は、口の中に存在する「ミュータンス菌」などの虫歯菌が作り出す酸によって、歯のカルシウムが溶かされる病気です。
食べ物を口にすると、歯の表面についた歯垢(プラーク)の中で虫歯菌が活動を始めます。
虫歯菌は食べ物に含まれる糖分をエサにして酸を作り出し、この酸が歯の表面を覆う硬いエナメル質を溶かしていくのです。
特に乳歯は大人の永久歯に比べてエナメル質が薄いため、酸に弱く虫歯の進行が非常に速いという特徴があります。
「脱灰」と「再石灰化」のバランスが鍵
実は、私たちの口の中では常に「脱灰」と「再石灰化」という現象が繰り返されています。
食事やおやつを食べると、口の中が酸性になり歯の成分(カルシウムやリンなど)が溶け出します。
これを「脱灰」と呼びます。しかし、40分ほど経つと唾液の働きによって溶け出した歯の成分が元に戻されます。
これが「再石灰化」です。通常、このバランスが保たれていれば虫歯は進行しません。
ところが、おやつを頻繁に食べたり、ダラダラと長時間食べ続けたりすると、口の中が酸性である時間が長くなり、
脱灰の時間が増えてしまいます。その結果、再石灰化が追いつかなくなり、虫歯が進行してしまうのです。
乳歯の虫歯を放置してはいけない理由
「乳歯はどうせ抜けるから、虫歯になっても大丈夫」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これは大きな誤解です。乳歯の虫歯は、その後に生えてくる永久歯にも深刻な影響を与えます。
乳歯が虫歯で早期に失われると、永久歯が生えるスペースが減ってしまい、歯並びに悪影響を及ぼします。
また、これから生える永久歯の形や色が変化したり、
場合によっては大人になっても歯の見た目の悪さに悩み続けることになる可能性もあります。
さらに、虫歯による痛みや虫歯菌が原因となる合併症に発展する恐れもあるため、
乳歯であっても虫歯予防と早期治療が非常に重要なのです。
虫歯になりやすいおやつの特徴〜避けるべき3つの条件
条件1:砂糖(糖分)が多く含まれている

虫歯菌は糖分をエサにして増殖します。
そのため、砂糖が多く含まれている甘いおやつは、虫歯になりやすいおやつの代表格です。
チョコレート、キャラメル、アメ、ソフトキャンディー、グミ、ラムネ、ケーキ、アイスクリーム、ゼリーなどが該当します。
また、ジュースやスポーツ飲料、乳酸菌飲料なども多くの糖分を含んでいるため、飲みすぎには注意が必要です。
条件2:歯にくっつきやすい
歯にくっつきやすいおやつは要注意です。
含まれている糖分が長時間歯に密着することで、ミュータンス菌の増殖を促進させてしまいます。
キャラメル、ビスケット、ウエハース、せんべいなどは、歯と歯の間に挟まって残存しやすく、虫歯を発生させやすくします。
また、一見甘くなさそうに見えるスナック菓子(ポテトチップスなど)も、
原料のデンプン質が唾液で分解されると糖になり、油分で歯にくっつきやすいため注意が必要です。
条件3:食べ終わるのに時間がかかる
食べ終わるのに時間がかかるおやつも、糖分や食べカスが口内に残りやすいため虫歯のリスクが高まります。
ソフトキャンディー、アメ、ラムネ、グミ、ガムなどが該当します。
特にアメは糖分の塊を長時間口に入れ続けるため、唾液で流されず、局所的に酸を作り続けます。
「口に入れている時間=歯が溶ける時間」と考えると、そのリスクの高さがわかるでしょう。
虫歯になりにくいおやつの選び方〜歯科医が推奨する3つのポイント
ポイント1:砂糖(糖分)が少ない
虫歯になりにくいおやつを選ぶ第一のポイントは、糖分が少ないことです。
果物、野菜、乳製品などは糖分が少なく、歯にくっつきにくいため虫歯になる心配が少ないといえます。
具体的には、果物(りんご、いちご、バナナなど)、チーズ、ヨーグルト(無糖または低糖)、野菜スティック(にんじん、きゅうりなど)がおすすめです。また、砂糖不使用のビスケット・クラッカーやプリン・ゼリー、ナッツ類なども良い選択肢となります。
ポイント2:歯にくっつかない
歯にくっつきにくいおやつを選ぶことも重要です。
例えば、煎餅やアイス、甘栗などは、糖分があっても歯に付着しにくい性質があります。
また、食物繊維を含むフルーツや野菜は、噛むことで唾液の分泌を促し、歯の表面をきれいにする効果もあります。
りんごやにんじんなどの硬めの食材は、自然な歯磨き効果も期待できるのです。
ポイント3:すぐに口からなくなる
短時間で食べ終わるおやつを選ぶことで、口の中が酸性である時間を短縮できます。
アイスクリームは糖分を含みますが、すぐに溶けて口から流れていくため、長時間口の中に留まりません。
また、カルシウムが含まれているおやつを選ぶのもおすすめです。
カルシウムは歯を構成する成分のひとつで、積極的に摂取することで虫歯予防の効果が期待できます。
チーズ、ヨーグルト、牛乳などの乳製品、小魚、ごまなどがカルシウムを豊富に含んでいます。
おやつの与え方〜時間とルールが虫歯予防の鍵
「ダラダラ食べ」が最も危険な理由
おやつの種類だけでなく、「与え方」も虫歯予防において非常に重要です。
最も避けるべきなのが「ダラダラ食べ」です。
おやつを頻繁に食べたり、長時間かけて食べ続けたりすると、口の中が酸性である時間が長くなり、
歯が溶ける「脱灰」の時間が増えてしまいます。その結果、再石灰化が追いつかず、虫歯が進行してしまうのです。
おやつは「時間」と「量」を決める
虫歯予防のためには、おやつの時間と量をしっかりと決めることが大切です。
おやつは1日1〜2回、時間を決めて与えましょう。
食事と食事の間隔を十分に空け、おやつの時間も15〜30分程度で終わるようにします。
また、甘いものを食べたい時は、食後のデザートとして出すのが効果的です。
食後は唾液の分泌が活発になっているため、酸を中和しやすく、虫歯のリスクを軽減できます。
就寝前のおやつは絶対に避ける
就寝時は唾液の分泌が低下するため、虫歯のリスクが非常に高くなります。
寝る前に糖分を含むおやつや飲み物を摂取すると、口の中が酸性のまま長時間維持され、虫歯が進行しやすくなります。
夕食後のおやつは控え、どうしても何か口にしたい場合は、水やお茶を飲むようにしましょう。
飲み物にも注意が必要です
ジュースやスポーツ飲料、乳酸菌飲料などは、高濃度の糖分と酸性の液体が歯全体に行き渡り、虫歯菌を活性化させます。
特に哺乳瓶やマグでダラダラ飲むのは最も危険です。
飲み物は「おやつ」ではなく「食事の一部」として時間を決め、飲んだ後はすぐにお茶や水で口をゆすぐようにしましょう。
普段の水分補給は、糖分を含まない水やお茶を選ぶことをおすすめします。
おやつ後のケア方法〜虫歯予防の仕上げ
おやつの後は必ず歯磨きを
おやつを食べた後の歯磨きは、虫歯予防の基本です。
理想的には、おやつを食べた後すぐに歯磨きをすることで、歯に付着した糖分や食べカスを取り除くことができます。
お子さんが自分で歯磨きをする場合でも、親御さんによる仕上げ磨きが非常に重要です。
特に奥歯の溝や歯と歯の間は汚れが残りやすいため、丁寧に磨きましょう。
歯磨きができない時は「うがい」で対応
外出先などで歯磨きができない場合は、うがいをするだけでも効果があります。
水やお茶で口をゆすぐことで、口の中の糖分や食べカスを洗い流し、酸性に傾いた口内環境を中和することができます。
「ブクブクうがい」ができるお子さんであれば、しっかりとほっぺを動かしながら口内をゆすぐように指導しましょう。
フッ素入り歯磨き粉の活用
フッ素は歯を強くし、酸によって溶けた歯を元に戻す効果があります。
近年では、低濃度のフッ素入り歯磨き粉を毎回の歯磨きで使用することが虫歯予防に有効であると考えられています。
生理的な唾液中に含まれるフッ素濃度は再石灰化を促す濃度に満たないため、
低濃度のフッ素入り歯磨き粉を高頻度で使用することで、
歯の表面や結晶付近にフッ素が滞留し、歯質の脱灰を抑制し、再石灰化を促進させることができるのです。
デンタルフロスで歯間ケアも忘れずに
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを完全に落とすことはできません。
クッキーやビスケットなどの食べかすは、歯と歯の間に挟まって残存しやすいため、
デンタルフロス(糸ようじ)を使用することをおすすめします。
お子さんが小さいうちは親御さんが行い、成長に合わせて自分でできるように指導していきましょう。
歯科医院でできる虫歯予防〜プロフェッショナルケアの重要性
フッ素塗布で歯を強化
歯科医院で行うフッ素塗布は、虫歯予防の代表的な処置です。
歯磨き粉に含まれるフッ素は低濃度で毎日継続して使用する必要がありますが、
歯科医院で塗布するフッ素は高濃度で1回の塗布で大きな効果が期待できます。
約3ヵ月おきの受診・塗布をおすすめしており、日頃の歯磨きと併用することで、より効果的な虫歯予防が可能になります。
シーラントで奥歯の溝を保護
シーラントとは、虫歯になりやすい奥歯や前歯の溝にプラスチック樹脂を詰めて溝を浅くし、虫歯になりにくくする処置です。
生えたばかりの歯は表面が未成熟で弱く、唾液中のカルシウムなどを取り込むことで段々強くなっていきます。
そのため、歯が生えてきたらできるだけ早くシーラントの予防処置を行うことをおすすめしています。
噛み合わせや歯ぎしりなどの習癖によって樹脂がすり減る場合もあるため、定期的に歯科医院を受診して確認してもらいましょう。
ブラッシング指導で正しい磨き方を習得
毎日の歯磨きは虫歯予防の基本ですが、お子さんが自分できちんと歯を磨くのは難しいものです。
歯科医院では、お子さんの口腔状態や能力に合わせた歯磨きの習慣付けの方法や磨き方を指導します。
また、お子さんが低年齢であれば親御さんの仕上げ磨きもとても重要になりますので、仕上げ磨きの方法もご説明いたします。
「ブクブクうがい」ができるお子さんであれば、磨き残しを染め出してみることもできますので、試してみると良いでしょう。
PMTC(クリーニング)で徹底的に汚れを除去
毎日の自宅での歯磨きだけでは、汚れを完全に落としきることはできません。
PMTCはお口の専門的なクリーニングで、専用の器具を用いて1本1本歯をきれいにしていく予防処置です。
特にお子さんは歯磨きが難しく汚れが溜まりやすいため、定期的にPMTCを行うことをおすすめします。
虫歯予防のためには、3ヵ月に1度は定期検診に通い、虫歯のチェックと予防処置を行うようにしてください。
まとめ〜子供の歯を守るために今日からできること
お子さんの虫歯予防において、おやつ選びと与え方は非常に重要な役割を果たします。
虫歯になりやすいおやつの特徴は「砂糖が多い」「歯にくっつきやすい」「食べ終わるのに時間がかかる」の3つです。
一方、虫歯になりにくいおやつは「砂糖が少ない」「歯にくっつかない」「すぐに口からなくなる」という特徴があります。
果物、野菜、チーズ、ヨーグルトなどを選ぶことで、お子さんに楽しいおやつタイムを提供しながら虫歯予防ができます。
また、おやつの与え方も重要です。「ダラダラ食べ」を避け、時間と量を決めて短時間で食べ終わるようにしましょう。
就寝前のおやつは避け、飲み物にも注意が必要です。
おやつの後は歯磨きやうがいを習慣化し、フッ素入り歯磨き粉やデンタルフロスを活用することで、
より効果的な虫歯予防が可能になります。
そして、ご家庭でのケアだけでなく、歯科医院での定期的な検診とプロフェッショナルケアも欠かせません。
江田あおば歯科・矯正歯科では、フッ素塗布やシーラントによる予防処置、ブラッシング指導、PMTCなど、
お子さんの歯を守るための様々なサポートを提供しています。
お子さんの健やかな成長のために、今日から虫歯予防を始めましょう。
江田あおば歯科・矯正歯科は、東急田園都市線江田駅から徒歩1分の好立地にあり、土曜日も診療可能です。
駐車場も4台完備しておりますので、お車でのご来院も便利です。
お子さんの歯の健康について気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
詳しい診療内容や予約方法については、江田あおば歯科・矯正歯科の公式サイトをご覧ください。
お子さんの生涯にわたる口腔健康を守るお手伝いをさせていただきます。
監修医師
江田あおば歯科・矯正歯科 院長:上田 聡太

https://aoba-ku.jp/medical_list/facilities/6474/interview
経歴
サレジオ学院中学校・高等学校 卒業
東京医科歯科大学 歯学部 歯学科 卒業
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院に勤務
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院にて院長として勤務
江田あおば歯科・矯正歯科 開院
所属団体
日本歯周病学会 認定医
日本口腔インプラント学会
DFC(Dental Future Conference)
日本インプラント臨床研究会
中野予防歯科研修会
日本歯科医師会
神奈川県歯科医師会
横浜市歯科医師会
青葉区歯科医師会