歯周病で歯茎が下がるとはどういう状態か?

 

歯肉退縮(しにくたいしゅく)とは、歯の周りの歯茎が減り、本来は歯茎に隠れているはずの歯根が露出してしまう状態です。

歯が「長く見える」「歯と歯の隙間が広がった」と感じたら、すでに退縮が始まっているサインかもしれません。

歯茎の下には歯槽骨(しそうこつ)があり、歯を支える土台の役割を担っています。

歯周病が進行すると、歯周病菌が産生する毒素によってこの歯槽骨が少しずつ溶かされ、

骨の上にある歯茎も骨に追従するように下がっていきます。

歯根部分にはエナメル質がなく象牙質がむき出しになるため、

露出すると虫歯・知覚過敏・着色などのリスクが一気に高まります。

「歯がしみる」「冷たいものが痛い」という症状は、歯肉退縮のサインとして見逃せません。

 

 

歯茎が下がる原因は何か?〜歯周病以外のリスクも確認

 

 

歯茎が下がる最大の原因は歯周病(歯肉炎・歯周炎)ですが、それ以外にも複数の要因が絡み合って発生します。

原因を正確に把握することが、適切な治療への第一歩です。

 

  • 歯周病(歯肉炎・歯周炎)…歯周病菌によって歯槽骨が溶け、歯茎が後退する。最も多い原因。
  • 過度なブラッシング(オーバーブラッシング)…強い力でゴシゴシ磨くと歯茎の組織が傷つき、退縮しやすくなる。
  • 噛み合わせの悪さ・歯ぎしり…一部の歯に過剰な力が集中し、その部分の歯茎が後退する。
  • 加齢…40代以降から歯肉は徐々に退縮しやすくなる。ただし20〜30代でも起こりうる。
  • 喫煙・生活習慣の乱れ…喫煙は血流を悪化させ、歯周組織の回復力を低下させる。
  • 根尖病巣(こんせんびょうそう)…むし歯が重症化して歯の根の先に膿が溜まり、歯茎が下がることがある。

 

歯茎の後退は実際には複数の要因が絡み合って発生するとされており、単一の原因だけで起きることは少ないとされています。

 

 

歯茎が下がったままにするとどうなるか?〜放置のリスク

 

歯肉退縮を放置すると、虫歯・知覚過敏・歯のぐらつき・最終的な歯の喪失へと進行するリスクがあります。

早期対処が歯を守る最善策です。

 

  • 知覚過敏・痛み…象牙質が露出することで冷たいもの・甘いものがしみる。
  • 根面う蝕(こんめんうしょく)…エナメル質のない歯根部は虫歯が進行しやすい。
  • 食べ物が挟まりやすくなる…歯と歯の隙間が広がり、プラークが溜まりやすくなる。
  • 歯のぐらつき(動揺)…歯槽骨の吸収が進むと歯が支えを失い、グラグラになる。
  • 口臭の悪化…歯周ポケットに細菌が繁殖し、口臭の原因となる。
  • 歯の喪失…最終的には抜歯が必要になる場合がある。

 

歯周病は自覚症状に乏しく、患者さん自身が歯の動揺や歯肉からの出血を自覚したときには、

歯槽骨の吸収などの歯周組織の破壊が重度に進行している場合があると指摘されています。

 

 

歯周病による歯茎下がりは自力で治せるか?

 

 

 

 

一度下がった歯茎は、自力では元に戻りません。

歯磨き粉の変更・マッサージ・市販薬では退縮した歯茎の回復は期待できません。

できることは「これ以上進行させない」ことです。

歯周病が進行して歯槽骨が溶けてしまうと、骨は自然に再生しません。

骨の上にある歯茎も、骨に追従して下がったままになります。

セルフケアで改善できるのは、歯肉の炎症(腫れ・出血)を抑える段階までです。

ただし、正しいセルフケアは進行を食い止める力があります。以下の点を意識しましょう。

 

  • 普通〜やわらかい歯ブラシを使い、力を入れすぎず優しく磨く。
  • 歯間ブラシ・フロスを併用し、歯と歯の間のプラークを除去する。
  • 1日2回以上の歯磨きを習慣化する。
  • 禁煙…喫煙は歯周組織の回復力を著しく低下させる。
  • 定期的な歯科検診…3〜6か月に1回のクリーニングで歯石を除去する。

 

 

歯科医院での歯周病治療〜基本治療から外科手術まで

 

歯周病の治療は、歯周基本治療歯周外科手術の2段階で進めます。

軽度〜中等度は基本治療で改善できますが、重度になると外科的アプローチが必要です。

 

歯周基本治療とは何か?

 

すべての歯周病患者さんに行われる治療です。

プラーク・歯石(バイオフィルム)を除去し、患者さん自身のプラークコントロールを徹底することで、歯周病の症状を改善します。

 

  • スケーリング…歯の表面・歯周ポケット内の歯石を専用器具で除去する。
  • ルートプレーニング…歯根表面を滑らかにし、細菌が付着しにくくする。
  • 歯磨き指導(TBI)…患者さん一人ひとりに合ったブラッシング方法を指導する。
  • 咬合調整…噛み合わせのバランスを整え、特定の歯への過剰な力を分散させる。

 

歯周病の症状が比較的軽度の場合は歯周基本治療で症状が改善し、病態の進行が停止するとされています。

 

 

歯周外科手術が必要になるのはどんな場合か?

 

中等度〜重度の歯周病では、基本治療だけでは改善しない深い歯周ポケットや複雑な歯槽骨の欠損が残ることがあります。

この場合、歯肉を切開して歯槽骨を直接確認しながら処置する歯周外科手術が適応になります。

 

  • フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)…歯肉を切開し、歯根表面のバイオフィルムを徹底除去する。
  • 歯周組織再生療法…失われた歯槽骨・歯根膜・セメント質を再生させる治療(後述)。
  • 遊離歯肉移植術・結合組織移植術…口蓋などから歯肉を採取して移植し、退縮した歯茎を覆う。

 

 

歯周組織再生療法とは何か?〜エムドゲイン・リグロス・GTR法を解説

 

 

 

歯周組織再生療法とは、歯周病によって失われた歯肉・セメント質・歯根膜・歯槽骨を再生させることを目的とした外科的治療です。中等度〜重度の歯周病に対して推奨される治療法として位置づけられています。

手術は歯肉を切開し、明視下でプラーク・歯石・炎症組織を除去した後、骨欠損部に再生材料を適用して縫合します。

手術時間は約1時間30分〜2時間で、術後2週間で抜糸、6か月ほど経過観察後に再評価を行います。

 

エムドゲイン(エナメルマトリックスタンパク質)

 

歯の発生時に重要な役割を果たすエナメルマトリックスタンパク質を含む再生材料です。

歯根表面に塗布することで、歯周組織が自然な形で再生されるよう促します。

自費診療となるケースが多いですが、適応条件によっては保険適用の場合もあります。

 

リグロス(塩基性線維芽細胞増殖因子・FGF-2)

 

リグロスは、塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)を有効成分とする薬剤です。

歯周組織の細胞を増殖させ、失われた歯槽骨・歯根膜の再生を促します。

FGF-2は1990年代から研究が始まり、動物実験で骨再生が確認された後、2001年から臨床治験が開始されました。

リグロスによる歯周組織再生療法は保険適用される場合があり、費用を抑えられる点が特徴です。

 

GTR法(組織誘導再生法)

 

特殊な組織誘導膜(GTRメンブレン)を歯と歯茎の間に設置し、歯周組織の再生を誘導する方法です。

膜が不要な細胞の侵入を防ぎ、歯槽骨・歯根膜の再生を促します。

骨移植材(バイオオス・サイトランスグラニュール等)と組み合わせて使用することもあります。

 

再生療法の注意点

 

  • すべての症例に適応できるわけではない…歯周病の進行度・骨欠損の形態によって適応が異なる。
  • 術前の口腔衛生状態が重要…プラークコントロールが不十分だと成功率が低下する。
  • 禁煙が強く推奨される…喫煙は創傷治癒を遅延させ、再生療法の成功率を下げる。
  • 糖尿病などの全身疾患がある場合は事前に血液検査を行い、全身状態を確認する必要がある。
  • 術後の定期管理が不可欠…再生療法後も歯周病の再発防止のため、定期検診を継続する。

 

 

歯茎下がりを予防するには?〜日常ケアと定期検診のポイント

 

歯茎下がりの予防には、毎日の適切なセルフケアと定期的な歯科検診の両輪が欠かせません。

歯周病は自覚症状が出にくい疾患だからこそ、早期発見・早期対処が重要です。

 

毎日のセルフケアで意識すること

 

  • 歯ブラシの選び方…毛先がやわらかく、ヘッドが小さいものを選ぶ。
  • ブラッシング圧…力を入れすぎず、歯と歯茎の境目を優しく丁寧に磨く。
  • 歯間ブラシ・デンタルフロス…歯ブラシだけでは落とせない歯間のプラークを除去する。
  • 洗口液の活用…歯周病菌の繁殖を抑える効果が期待できる。
  • 食生活の見直し…糖分の多い食事・間食の頻度を減らし、バランスのよい食事を心がける。

 

定期検診で行うプロフェッショナルケア

 

  • 歯石除去(スケーリング)…セルフケアでは落とせない歯石を専用器具で除去する。
  • 歯周ポケット検査…ポケットの深さを測定し、歯周病の進行度を確認する。
  • レントゲン撮影…歯槽骨の吸収状態を定期的に確認する。
  • PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)…専用機器で歯面を徹底的に清掃する。

 

歯周病は感染症であり、進行性の慢性疾患です。

大阪大学ResOU(2020年)の村上教授のコメントによると、

「普段から口の中を清潔にし、プラークを除去することが予防・治療の本質」とされています。

日頃のセルフケアと定期検診を組み合わせることで、歯茎下がりの進行を大幅に抑えることができます。

 

 

横浜・あざみ野江田市ヶ尾エリアで歯周病治療を受けるなら

 

歯茎が下がってきた・歯がグラグラする・口臭が気になるなど、歯周病のサインを感じたら、

できるだけ早く専門医に相談することが大切です。

 

江田あおば歯科・矯正歯科は、東急田園都市線江田駅徒歩1分に位置し、日本歯周病学会認定医が在籍する歯科医院です。

「痛くない・削らない・抜かない治療」を基本方針とし、歯周基本治療から歯周組織再生療法まで、

患者さんの状態に合わせた治療プランをご提案します。

半個室の診療スペースで、プライバシーに配慮した環境で相談できます。

駐車場4台完備で、お車でのご来院も可能です。

まずはお気軽にご相談ください。

 

電話番号:045-530-3255(受付時間:月〜土 9:00〜13:00 / 14:30〜18:00)

WEB予約は24時間受付中です。

 

 

よくある質問

 

歯周病で下がった歯茎は自然に戻りますか?

 

一度下がった歯茎は自然には戻りません。歯槽骨が溶けると自然再生しないため、歯茎も後退したままになります。

進行を止めるには早期の歯科治療が必要です。

 

歯茎が下がるのは歯周病だけが原因ですか?

 

歯周病が最も多い原因ですが、過度なブラッシング・噛み合わせの悪さ・加齢・喫煙・根尖病巣なども原因になります。

複数の要因が重なって発生することも多いです。

 

歯周組織再生療法は保険が適用されますか?

 

使用する材料によって異なります。リグロス(FGF-2製剤)を用いた再生療法は保険適用される場合があります。

エムドゲインなどは自費診療となるケースが多いです。詳細は歯科医院にご確認ください。

 

歯茎下がりの治療にはどんな外科手術がありますか?

 

主な外科治療として、エムドゲインやリグロスを用いた歯周組織再生療法、GTR法(組織誘導再生法)、

遊離歯肉移植術・結合組織移植術(歯肉移植)などがあります。

症状の程度によって適応が異なります。

 

歯がグラグラしているのは歯周病が進行しているサインですか?

 

歯のぐらつき(動揺)は、歯槽骨の吸収が進んだ中等度〜重度の歯周病のサインです。

放置すると抜歯が必要になる場合があるため、早急に歯科医院を受診してください。

 

歯周病の治療後はどのくらいの頻度で通院が必要ですか?

 

治療後は3〜6か月に1回の定期検診・クリーニングが推奨されます。

歯周組織再生療法後は術後6か月を目安に再評価を行い、その後も継続的なメンテナンスが必要です。

 

歯茎が下がると口臭はひどくなりますか?

 

はい、歯茎が下がると歯周ポケットに細菌が繁殖しやすくなり、口臭が悪化することがあります。

適切な歯周病治療と口腔ケアで改善が期待できます。

 

歯周病治療中に歯磨きで気をつけることは何ですか?

 

力を入れすぎたブラッシングは歯茎を傷つけ、退縮をさらに悪化させます。

やわらかい歯ブラシで優しく磨き、歯間ブラシ・フロスを併用することが大切です。

歯科医院で正しい磨き方の指導を受けることをおすすめします。

 

子どもも歯周病で歯茎が下がることがありますか?

 

成人に比べて少ないですが、子どもでも歯肉炎から歯周病に進行するケースがあります。

早期から正しいブラッシング習慣を身につけることが予防の基本です。

 

江田あおば歯科・矯正歯科で歯周病の相談はできますか?

 

はい、日本歯周病学会認定医が在籍しており、歯周基本治療から再生療法まで対応しています。

東急田園都市線江田駅徒歩1分、電話番号045-530-3255、WEB予約は24時間受付中です。

 

 

結論

 

歯周病による歯茎下がり(歯肉退縮)は、自然には回復しません。

軽度のうちに歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)で進行を止めることが最善策です。

中等度〜重度の場合は、エムドゲイン・リグロス・GTR法などの歯周組織再生療法で骨・歯茎の回復が期待できます。

「歯が長くなった」「グラグラする」と感じたら、日本歯周病学会認定医のいる歯科医院に早めに相談してください。

 

監修医師

 

江田あおば歯科・矯正歯科 院長:上田 聡太

 

 

https://aoba-ku.jp/medical_list/facilities/6474/interview

 

経歴

サレジオ学院中学校・高等学校 卒業
東京医科歯科大学 歯学部 歯学科 卒業
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院に勤務
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院にて院長として勤務
江田あおば歯科・矯正歯科 開院

 

所属団体

日本歯周病学会 認定医
日本口腔インプラント学会
DFC(Dental Future Conference)
日本インプラント臨床研究会
中野予防歯科研修会
日本歯科医師会
神奈川県歯科医師会
横浜市歯科医師会
青葉区歯科医師会