
歯周病とは何か?〜なぜ「静かな病気」と呼ばれるのか?
歯周病とは、歯と歯ぐきの境目に溜まった細菌(歯垢・プラーク)が引き起こす炎症性疾患です。
歯を支える骨(歯槽骨)や歯肉が徐々に破壊され、最終的に歯を失う原因となります。
最大の特徴は、痛みがほとんどないまま進行することです。
だから「静かな病気」とも呼ばれます。気づいたときには歯がグラグラ・ボロボロになっていた、というケースも珍しくありません。
日本臨床歯周病学会によると、お口の中には400〜700種類の細菌が存在し、
歯垢1mgの中に約10億個の細菌が住みついているとされています。これらの細菌が歯肉に炎症を起こし、
やがて歯槽骨を溶かしていきます。
歯周病の進行ステップ
- 歯肉炎…歯ぐきが赤く腫れ、ブラッシング時に出血する。骨への影響はまだない段階。
- 軽度歯周炎…歯周ポケットが深くなり始め、骨が少しずつ溶け始める。
- 中等度歯周炎…骨の破壊が進み、歯が浮いた感じや食べ物が詰まりやすくなる。
- 重度歯周炎…歯がグラグラし、膿が出る。放置すると抜歯が必要になる。
歯周病を進行させる主なリスク因子には以下があります。
- 糖尿病…血糖コントロールが悪いと歯周病が悪化しやすい
- 喫煙…歯周組織の免疫機能を低下させる
- 歯ぎしり・食いしばり…歯周組織への過剰な負担
- ストレス…免疫力の低下を招く
- 不規則な食習慣…口腔内環境の悪化につながる
何歳から歯周病は始まるのか?〜年齢別の発症リスクを知る

歯周病は「中高年の病気」ではありません。10代から始まる可能性がある疾患です。
年齢が上がるほどリスクは高まりますが、若いうちから予防意識を持つことが大切です。
厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査」(2023年6月公表)では、4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合が全体の47.9%に達し、
高齢になるにつれて増加傾向にあることが確認されています。
10代〜20代:歯肉炎が始まる時期
10代では歯周病の初期段階である「歯肉炎」が始まります。
日本臨床歯周病学会のデータによると、15〜24歳の約70.3%に歯肉の炎症が認められています。
この時期は骨への影響はほとんどありませんが、放置すると歯周炎へと移行します。
ホルモンバランスの変化(思春期・妊娠)も歯肉炎を悪化させる要因です。
20代は社会人生活が始まり、食生活の乱れやストレスが増えるため、セルフケアが疎かになりがちな時期でもあります。
30代〜40代:歯周炎が本格化する年代
30代以降になると、歯肉炎から歯周炎へと進行するリスクが急上昇します。
この年代は仕事・育児・家事と多忙を極め、歯科受診の優先度が下がりやすい傾向があります。
また、30代〜40代は糖尿病や高血圧などの生活習慣病が増え始める時期でもあります。
糖尿病と歯周病は互いに悪化させ合う「双方向の関係」があることが知られており、
全身の健康管理と口腔ケアを同時に意識することが重要です。
50代〜60代:歯がグラグラ・ボロボロになるリスクが高まる
50代以降は歯周病が重症化しやすい年代です。
長年の歯垢・歯石の蓄積、加齢による唾液分泌量の低下、閉経後のホルモン変化(女性)などが重なり、歯槽骨の破壊が加速します。
この時期に「歯がグラグラする」「歯茎が下がって歯が長く見える」「歯がボロボロになってきた」と感じる方が増えます。
厚生労働省の同調査では、歯肉の状態が悪化する割合は55〜64歳でピークを迎えるとされています。
70代以降:歯の喪失と全身疾患リスク
70代以降は歯の喪失が現実的な問題となります。
一方で、厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査」によると、
80歳で20本以上の歯が残っている「8020達成者」は51.6%(2022年調査)に上り、
適切なケアを続ければ生涯自分の歯を守れることも示されています。
さらに、日本歯周病学会会誌(2025年公表)の研究では、歯周病と認知症の関連が指摘されており、
歯周病原細菌の脳内侵入や全身性炎症を介した経路が解明されつつあります。
口腔の健康管理が認知症予防にもつながる可能性が示されています。
歯周病のサインとは?〜見逃しやすい初期症状をチェック
歯周病の初期症状は痛みを伴わないことが多く、自覚しにくいのが特徴です。
以下のセルフチェックで、当てはまる項目がないか確認してみてください。
- 口臭を指摘された、または自分で気になる
- 朝起きたら口の中がネバネバする
- 歯磨き後に歯ブラシに血がつく
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯ぐきが下がり、歯が長く見える
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった
- 歯が浮いた感じがする
- 歯がグラグラしている
1〜3個当てはまる場合は歯周病の可能性があります。
4個以上の場合は中等度以上に進行している可能性があるため、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
チェックが0個でも、無症状で歯周病が進行しているケースがあります。年に1回以上の定期検診が重要です。
歯周病が全身に与える影響とは?〜口の中だけの問題ではない
歯周病は口腔内の問題にとどまらず、全身の健康に深刻な影響を与えます。
歯周病菌や炎症性物質が血流を通じて全身に広がるためです。
- 糖尿病の悪化…歯周病の炎症がインスリン抵抗性を高め、血糖コントロールを困難にする
- 心臓病・動脈硬化…歯周病菌が血管内に入り込み、動脈硬化を促進する可能性がある
- 早産・低体重児出産…妊娠中の歯周病は早産リスクを高めるとされる
- 誤嚥性肺炎…口腔内の細菌が気道に入り込み、高齢者の肺炎を引き起こす
- 認知症…歯周病原細菌の脳内侵入や全身性炎症を介した関連が研究で示されている
日本歯周病学会会誌(2025年公表)の最新知見では、
歯周炎が重症化するほど咬合力・咀嚼能率が有意に低下することも確認されています。
食べる力の低下はフレイル(虚弱)や低栄養にもつながります。
歯周病の予防・治療は、歯を守るだけでなく、全身の健康寿命を延ばすことにも直結しているのです。
年代別の歯周病予防法とは?〜今すぐできるセルフケアと歯科でのプロケア

歯周病の予防は、年代に応じたアプローチが効果的です。
セルフケアとプロフェッショナルケアを組み合わせることが基本です。
すべての年代に共通する基本セルフケア
- 正しいブラッシング…歯と歯ぐきの境目を45度の角度で丁寧に磨く(バス法)
- デンタルフロス・歯間ブラシの使用…歯ブラシだけでは落とせない歯間の汚れを除去
- 歯磨き粉の選択…フッ素配合・抗菌成分入りのものを選ぶ
- 禁煙…喫煙は歯周病の最大リスク因子のひとつ
- バランスの良い食事…糖分の過剰摂取を控え、ビタミンCを積極的に摂る
10代〜20代:習慣づけが最大の予防
この時期は歯磨きの習慣を正しく身につけることが最重要です。
歯肉炎のうちに適切なケアをすれば、完全に回復できます。
歯科医院での定期検診(年1〜2回)とブラッシング指導を受けることをおすすめします。
30代〜40代:生活習慣の見直しと定期メンテナンス
忙しい年代ですが、3〜6か月に1回の定期メンテナンスを習慣化することが大切です。
歯科医院での「スケーリング(歯石除去)」や「PMTC(プロによるクリーニング)」を受けることで、
セルフケアでは落とせない汚れを除去できます。
50代以降:重症化予防と全身管理
すでに歯周炎が進行している場合は、歯科医院での積極的な治療が必要です。
歯周ポケットの深さを定期的に測定し、進行度に応じた治療(歯周基本治療・外科治療)を受けましょう。
全身疾患(糖尿病など)の管理と並行して行うことが重要です。
歯周病の治療はどのように行われるのか?〜治療の流れと費用
歯周病治療は段階的に行われます。重症度に応じて治療内容が異なりますが、基本は「原因除去」です。
歯周基本治療(すべての患者に行う)
- スケーリング…歯石・歯垢を専用器具で除去する
- ルートプレーニング…歯根の表面を滑らかにして細菌の付着を防ぐ
- ブラッシング指導…患者自身のセルフケア技術を向上させる
- 咬合調整…歯ぎしりや噛み合わせの問題がある場合に行う
歯周外科治療(基本治療で改善しない場合)
基本治療後も歯周ポケットが改善しない場合は、外科的治療が選択肢となります。
フラップ手術(歯肉を切開して歯石を除去)や、失われた骨を再生させる「歯周組織再生療法」などがあります。
メンテナンス(治療後の継続ケア)
歯周病治療後は、再発防止のための定期メンテナンスが不可欠です。
3〜6か月に1回の来院を目安に、歯周ポケットの深さ確認・歯石除去・ブラッシング指導を継続します。
メンテナンスを怠ると再発リスクが高まります。
費用については、歯周病治療の多くは保険診療の対象です。
初診時の検査・スケーリングは保険適用となります。
自由診療(レーザー治療・再生療法など)は別途費用が発生します。詳細は歯科医院にご確認ください。
江田あおば歯科・矯正歯科の歯周病治療の特徴とは?
当院では、日本歯周病学会認定医である院長が歯周病の診断・治療を担当します。
「痛くない・削らない・抜かない治療」を基本方針とし、患者様の歯を可能な限り守ることを最優先にしています。
- 日本歯周病学会認定医在籍…専門的知識と豊富な症例経験に基づく診断・治療
- 予防中心の診療システム…治療だけでなく、再発を防ぐメンテナンスを重視
- 半個室のプライベート空間…口臭や歯の状態など、デリケートな相談もしやすい環境
- 東急田園都市線江田駅徒歩1分…通いやすい立地で継続的なケアをサポート
- 駐車場4台完備…お車でのご来院も安心
- WEB予約・電話予約に対応…24時間いつでも予約可能
「歯がグラグラする」「歯茎が下がってきた」「口臭が気になる」など、気になる症状がある方は、まずお気軽にご相談ください。
初診時はカウンセリングとレントゲン検査を中心に、患者様一人ひとりに合った治療プランをご提案します。
歯周病は早期発見・早期治療が何より大切です。
江田あおば歯科・矯正歯科 歯周病では、地域の皆様の歯と健康を守るため、丁寧な診療を心がけています。
まずはお電話(045-530-3255)またはWEB予約でご連絡ください。
よくある質問
歯周病は何歳から始まりますか?
歯周病は10代から始まる可能性があります。日本臨床歯周病学会によると、15〜24歳の約70.3%に歯肉の炎症が認められています。
若いうちからの予防が重要です。
歯周病は自然に治りますか?
歯周病は自然には治りません。一度溶けた歯槽骨は基本的に元に戻らないため、早期に歯科医院で治療を受けることが大切です。
適切な治療と継続的なメンテナンスで進行を止めることができます。
歯周病と虫歯は違いますか?
歯周病は歯を支える歯ぐきや骨が溶ける病気、虫歯は歯そのものが溶ける病気です。
原因となる細菌の種類も異なります。どちらも歯垢(プラーク)が主な原因で、同時に発症することもあります。
歯周病は遺伝しますか?
歯周病に対する免疫反応の強さや歯の形態などに遺伝的要因が関わる場合があります。
両親が若い時から入れ歯だった方はリスクが高いとされています。
ただし、適切なセルフケアと定期検診で予防できます。
歯周病の治療は痛いですか?
歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)は麻酔を使用する場合もあり、痛みを最小限に抑えることができます。
当院では「痛くない治療」を徹底していますので、ご不安な方はお気軽にご相談ください。
歯周病治療は保険が使えますか?
歯周病治療の多くは保険診療の対象です。初診時の検査・スケーリング・歯周基本治療は保険適用となります。
一部の再生療法やレーザー治療は自由診療となる場合があります。
妊娠中でも歯周病治療を受けられますか?
妊娠中でも歯周病治療は受けられます。妊娠中は歯周病が悪化しやすく、早産リスクとの関連も指摘されています。
安定期(妊娠5〜7か月)に治療を受けることが推奨されます。事前に担当医にご相談ください。
歯周病を予防するために毎日できることは何ですか?
毎日の正しいブラッシング(歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨く)とデンタルフロス・歯間ブラシの使用が最も効果的です。
禁煙・バランスの良い食事・ストレス管理も重要な予防策です。
歯周病と口臭の関係は?
歯周病は口臭の主な原因のひとつです。
歯周ポケット内の細菌が硫化水素やメチルメルカプタンなどの揮発性硫黄化合物を産生し、強い口臭を引き起こします。
歯周病を治療することで口臭が改善するケースが多くあります。
定期検診はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
歯周病のリスクがある方は3〜6か月に1回の定期検診が推奨されます。
厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査」(2023年公表)では、
過去1年間に歯科検診を受診した人の割合は58.0%にとどまっており、受診率向上が課題とされています。
結論
歯周病は10代から始まり、30代以降に急増する慢性疾患です。
痛みがないまま進行し、放置すると歯がグラグラ・ボロボロになるだけでなく、
糖尿病・心臓病・認知症など全身疾患にも影響します。
年代に応じた予防(正しいブラッシング・定期検診・禁煙)と、歯科医院での専門的なメンテナンスを組み合わせることが、
生涯自分の歯を守る最善策です。
気になる症状があれば、日本歯周病学会認定医が在籍する江田あおば歯科・矯正歯科にお早めにご相談ください。
監修医師
江田あおば歯科・矯正歯科 院長:上田 聡太

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経歴
サレジオ学院中学校・高等学校 卒業
東京医科歯科大学 歯学部 歯学科 卒業
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院に勤務
神奈川県内 医療法人社団 歯科医院にて院長として勤務
江田あおば歯科・矯正歯科 開院
所属団体
日本歯周病学会 認定医
日本口腔インプラント学会
DFC(Dental Future Conference)
日本インプラント臨床研究会
中野予防歯科研修会
日本歯科医師会
神奈川県歯科医師会
横浜市歯科医師会
青葉区歯科医師会